11/19(日)にFactory Art Museum Toyama において「ウェルビーイングとは何か?」をテーマとして哲学カフェを開催しました。
現地5名、オンライン参加1名での開催となりました。前日の寒い気候が打って変わって穏やかな一日になったことも幸いしました。
地元富山県の新田知事肝煎り政策であることもあり、ホワイトボードに向かって立ち上がり、オンライン参加配信用のマイクを奪い合っての議論が白熱して、哲学カフェ史上最高の活況を呈しました。
最初のウェルビーイングについての各々の感想を聞いた後に、ウェルビーイングの源流とされるニコマコス倫理学の概略を紹介して、 世界で模索されているウェルビーイング関連の指標や学問分野を紹介しました。Better life Index(OECD)や世界幸福度報告(SDSN)といった指標がきめ細かな世界各地の状況を統計的なデータで比較参照できることをご紹介しました。また、ポジティブ心理学が大きな影響を与えており、特にPERMAの法則が統計的にデータが集められている点が特記できることもご紹介しました。
Better Life Index や世界幸福度報告と比べて、富山県版ウェルビーイングは主観性にパラメータを振っていることが特徴的であり、他にない試みであることは評価できる一方で、指標としての有効性を減少させるリスクを伴うことを指摘しました。 フリーディスカッションでは、以下の点が印象に残りました。
- 大辞職時代においてポジティブ心理学のPERMAの法則が人びとの仕事の充実感を高める可能性がある
- SDGsとの関連性
- 富山県のウェルビーイング政策はウェルビーイングビジネスの餌食になろうとしている
- 世界幸福度報告において、コロナ禍以降で日本は3年連続で順位を上昇させている
- ウェルビーイングの計測可能性と、目に見えない実存的な幸福との緊張関係
- 世界の中での北陸の幸福度を計測できるBetter Life Indexのきめ細やかさ
- 富山県は若い女性が流出し続けているのに幸福と言えるのか?
- 富山県の幸福度の高さは、年輩男性の幸福度が高いだけなのでは?
- 人・物・金が資本の大きい方へと駆り立てられる(ゲシュテル)のは世界的に共通の課題
- ウェルビーイングもSDGsもゲシュテルにタガをはめようとする一つの試み