【論文寄稿】メンバー・哲学カフェ参加者の「災害と社会」研究談話会への寄稿論文のご紹介

アガトンラボの代表の野末と、役員の中林が「災害と社会」研究談話会災害と社会に関する広域的研究論文集 vol.3に論文を寄稿しました。さらに、哲学カフェの参加者である青木誠治さんも寄稿されています。きっかけを与えてくださった熱心な哲学カフェの参加者である富樫豊さんに感謝いたします。

3D プリンタを通した行為的直観による「制作」の回復の試みに関する一考察(野末雅寛)

本稿は、西田幾多郎の「行為的直観」を手がかりに、近代的分業が招いた「制作」の危機を分析し、3D プリンタによる回復の可能性を論じる。分業は主客を分離し人間性を疎外したが、3D プリンタは高速な試作サイクルで「もの」との対話を復活させ、主客未分の創造的「場所」を再構築する。これは、AI 時代における人間らしい「作る喜び」と倫理的課題を含む、新たな制作論の展望である。

大規模災害時の避難所システム不全問題~公共財のジレンマから社会的共通資本による解決へ~(中林秀仁)

大規模災害時の避難所不全を「集合行為のジレンマ」として分析。イタリア市民保護局の事例と宇沢弘文の社会的共通資本の概念を援用し、避難所を再定義する。日本版広域支援隊の創設や国家基準の設定など、被災者の尊厳を守る社会システム構築に向けた制度設計を提言する。

財産権に内在する制約(青木誠治)

憲法で保障された財産権を制限する法理について整理し、公共事業の用地買収事例を参考として、財産権の否認の可能性について検討したもの。

市民社会の熟成に向けた社会的基礎土壌づくり~足元からの積み重ね(富樫豊)

諸問題解決に向けた問題毎行動や連携行動への強力な支援には、社会全体の見識良識を構成する基礎力(社会的基礎土壌と称す)の醸成が必要として、これが問題対処のバックグランドとなる市民側の活力を増強すると考えた。ここでは、社会的基礎土壌を(市民や市民社会の)足元からの運動で構成されるとして、その根幹をなすコミユニケーションのコミユニテイと街づくりに着目し、基礎土壌の骨格を明らかにした。

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