代表の野末が日本建築学会に論文「哲学と工学の対話の試み~技術決定論と民主的合理化~」を寄稿しました。哲学カフェにおける対話がベースとなって執筆することができました。対話に参加してくださった皆様と、きっかけを与えてくださった熱心な参加者である富樫様に感謝いたします。
<参考>人為的要因による自然災害の防止に向けた技術・社会に関する特別研究委員会(第二次) | 日本建築学会
下記は寄稿論文の概略です。
近年の IT 技術は指数関数的速度で進行している。技術が社会から自律して、しかも社会に大きな影響を与えるという「技術決定論」は、核技術をめぐって 20 世紀から唱えられてきたが、21 世紀になり IT 技術の指数関数的速度の進展を伴いそのリアリティは増している。この決定論の源流の一つは哲学者ハイデガーにある。彼の提唱した「ゲシュテル」と「テクネー」という概念の妥当性を、「政治的存在論」(ブルデュー)を通して検証する。その上で、それを批判したフィンバーグの「民主的合理化」の議論を取り上げ、その中にある政治的契機を明確にする。
哲学と工学の間で格闘している私にとって、とても意義深い論文となりました。これから詳細を掘り下げていきたいと望んでいますし、いま哲学カフェで連載している「メタバース」シリーズはその一端です。今後もおつきあいください。