今回の哲学カフェは、「先生」が長年の研究テーマとされてきたベーシックインカムがテーマでした。寒い雨の中でしたが、総勢9名で熱意のこもった議論がかわされました。
ベーシックインカムの定義、それが求められる時代背景、類似政策や海外での先行事例などを見ていきました。その後、ベーシックインカムを実現するための政策についても議論が及びましたが一番の問題はなんといっても財源です。
海外での事例は、天然資源を保有する国のものが多かったです。日本のように資源を有しない国で実施する場合、消費税や所得税の税率を上げること、政府通貨の発行などの手段が考えられます。あるいは量的緩和で市中銀行に供給される貨幣を、直接的に個人に与えるという「先生」が挙げたアイディアもあります。
ベーシックインカムは、労働の対価としての所得という社会生活の根幹にある概念を覆し、労働と所得の切り離しを目指すものです。社会制度をつくる概念レベルでの変革は、社会福祉制度や税制のあり方を見直す事と、新たな形の制度への移行が要求されるので非常にインパクトが大きく、それだけ白熱した議論を巻き起こしやすいものです。
じつは、人は社会の中でどう生きるべきか、という哲学的な話題にもかかわるのがベーシックインカムです。
私たちのコミュニティを運営していくための財源をどのように集め、どんな事に使えばよいのか。現行の制度がいつしか立ちゆかなくことがわかっている今、一人一人が自分の頭で考えて新しい解を出すことが求められます。
ベーシックインカムを考えることで、一人一人の中に市民としてのより高い自覚を促し、自分の頭で考え、コミュニティを維持していくためにどういう制度を実現すればよいのかという議論を巻き起こしていくことができるのではないかと思われます。
哲学カフェ富山としては、定期的にベーシックインカムをテーマにすることで、地域コミュニティにおける議論の高まりに貢献できるのではないかという手応えを感じました。
次回は、4月5日(日)、小矢部にて開催いたします。
ご参加くださった方々、ありがとうございました。
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