2016年の3月から長らくご無沙汰しておりました哲学カフェ、この度Factory Art Museum Toyamaとのコラボレーションにより、会場を提供して頂けることとなり再開することができました。
Factory Art Museum Toyamaは、工場の空建屋をミュージアムにリニューアルしたという日本全国でも唯一の場所で、メディアで多くの話題を提供しています。工場ならでの、工場職人が切削加工・溶接加工等の金属アートが展示されています。
その記念として、「技術とテクネー」というテーマで哲学カフェを開催しました。
「テクネー(techne)」とは技術(technic)の語源でもあり、芸術(Art)の語源でもあるというエネルギーのある言葉で、まさに技術と芸術が混合した創造の源を体現するこのミュージアムにふさわしい内容であると思い、提起しました。
「人生は短く、学芸は長い(Vita brevis, ars longa.)」ということわざがあります。ここでいうarsは芸術でもあり、技術でもあります。この言葉を残したヒポクラテスは医学の創始者ですから、医術でもあるわけです。
人間の技術とはは、昔は芸術をも含むもっとふくらみのある概念でした。リベラルアーツ(Liberal Arts)という時のArtsまで含めれば「教養」ですらあるわけです。
専門分化が進んだ現代においては、もはや「テクネー」が持つふくらみのある概念が想像もできないくらいになっていますが、このミュージアムという環境において、そのエネルギーについて思いを致すきっかけになればと思い、議論を提起しました。
富山県内はもとより、大阪からの参加者もあり、皆さん熱心に議論に加わっていただいたこともあり、開催後のアンケートでは概ね良い反応があったのではないかと思います。
当日のレジュメもアップします。
今後も、このミュージアムで哲学カフェを継続的に開催していきます。