哲学カフェでは4回シリーズで2600年の西洋哲学史を振り返り、古代ギリシャのヘレニズム哲学を「善の優位性の哲学」、ヘブライズムに端を発する中世からの哲学を「存在の優位性の哲学」と分類しました。
「善の優位性の哲学」の特性である「目的論的世界観」について、「存在の優位性の哲学」の特性である「機械論的世界観」(客観・自然)と「超越論的世界観」(主観・精神)について説明しました。
今回はその超越論的世界観の究極点であるニーチェについて取り上げました。彼がポスト真実の時代の哲学を切り開いた先駆者であるとともに、このニヒリズムの時代に失われた倫理について考えた哲学者であることも説明しました。
私たち現代人はこのニヒリズムの時代において、主体的に倫理性をどのようにして保つことができるのかを議論しましたが、やはりどこかに客観性が担保されないと、新しい倫理を構築することが難しいのではないかという意見が出ました。ニーチェの哲学は、既成の価値観に対抗するための力をマイノリティに与えたという点では評価できるが、主体性を尊重する哲学は結局は独善性に陥る危険が免れないのではないかという疑問が出されました。
その独善性がまさにポスト真実の時代に先鞭をつけた面があるのは間違いがなく、それを乗り越える道筋を探す必要があります。
そこで、次回は「新実在論」という新しい道筋を模索しているマルクス・ガブリエルについて考察することで会を終了することとなりました。