日付/時間
Date(s) - 2025年2月16日
1:00 PM - 4:00 PM
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2025年哲学カフェ 年間テーマ:「私たちは日本人としてどう生きるべきか?」
現代世界において、日本を取り巻く状況はかつてないほど複雑で不安定です。
西洋社会ではポピュリズムが台頭し、
その背後には「西洋の自死」とも言える深刻な自己懐疑が見え隠れします。
一方、中国やロシアといった大国、そしてグローバルサウスと呼ばれる発展途上国は、
それぞれ異なる価値観と現実的なパワーバランスを模索しています。
このような中で、日本はどのような立ち位置を取るべきか。
そして、私たちは日本人としてどのように生きるべきか
――この問いを、2025年の哲学カフェの年間テーマとします。
この問いに答えるためには、
日本の文化的背景や哲学史に根ざした私たちの特性を深く見つめ直す必要があります。
同時に、西洋哲学史や他文化との比較を通じて、
日本的な特性を浮かび上がらせ、それを行動の根拠とする試みを行います。
第78回テーマ 「IKIGAIとは何か?」
前回の哲学カフェでは、「西洋の敗北」とは
「プロテスタンティズム・ゼロ=労働倫理の喪失」であることを理解しました。
では、その対極にある考え方として、
日本の労働観に根付く「生きがい」という概念を
改めて考えてみることに、どのような意義があるでしょうか?
近年、日本の「生きがい」という考え方が世界的に注目を集めています。
昨年、茂木健一郎氏の『IKIGAI』がドイツでベストセラーとなり、
日本の「生きがい」の哲学が広く受け入れられました。
また、スペインのエクトル・ガルシア氏らによる
『Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』は世界的な成功を収め、
「生きがい」をテーマにした書籍が欧米市場でも数多く出版されています。
このような関心の高まりは、西洋の労働倫理が揺らぐなか、
人々が新たな「働く意味」を模索していることの表れではないでしょうか。
日本国内でも、「生きがい論」の古典的名著として知られる
神谷美恵子氏の『生きがいについて』が今なお多くの読者を惹きつけています。
神谷氏はこの書の中で、生きがいとは単なる幸福の追求ではなく、
苦しみや困難と向き合いながらも
「何かのために生きる」という感覚に根ざしていると説きました。
これは、「仕事=単なる労働」という枠を超え、
「仕事=生きることの一部」と捉える日本的な労働観にもつながる視点です。
しかし、日本における「生きがい」と労働倫理が
必ずしも肯定的な側面だけを持つわけではありません。
戦後日本の高度経済成長期には、
企業への忠誠心や過労文化の中で「働くこと」が過度に重視され、
生きがいの名のもとに個人の生活が犠牲にされることもありました。
現在では、終身雇用の崩壊や働き方の多様化によって、
従来の日本的労働観は変化を迫られています。
こうした状況のなかで、「生きがい」という概念を
どう捉え直すことができるでしょうか?
また、西洋での「生きがい」の受容と解釈が、
日本の労働倫理の再構築にどのような示唆を与えるのでしょうか?
次回の哲学カフェでは、労働倫理の喪失と再生という観点から、
日本と西洋の労働観を比較し、
「生きがい」が現代の働き方や生き方に
どのような示唆を与えるのかを深掘りしていきます。
働くことに対する意識が大きく変わりつつある今こそ、
「生きがい」の持つ意味を共に考えてみませんか?
どなたでもご参加いただけますので、お気軽にお越しください!
場 所:FACTORY ART MUSEUM TOYAMA (〒939-0131 富山県高岡市福岡町荒屋敷522)
開催日:2/16(日) 時間:13:00~16:00
参加費
<会場参加> | ビジター¥1,500 哲学カフェ会員 ¥1,000 ※当日、現金でお支払い下さい。 |
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<オンライン参加> | ビジター ¥800 哲学カフェ会員 ¥500 |
※哲学カフェ会員は随時受付しています。→詳細・お申込みはこちら
申し込み方法
- 会場参加申し込みフォーム(推奨)→詳細・お申し込みはこちら
- メール:info@fujita-k.co.jp(アットマークは半角に修正して下さい)
件名に「 2024/2/16 哲学カフェ Vol.78 申し込み」
1)住所
2)氏名
3)メールアドレス
4)携帯番号
5)哲学カフェin富山 会員、非会員の明記
以上を記入してお申し込みください。
* 申し込みのメールには、必ず返信のメールを出しています。もしメールが届かない場合はゴミ箱に入っていないか?確認をお願いします。お手数ですが、よろしくお願いします。 - FAX:0766-64-5220 上記記入の上、FAXしてください。
講師
野末雅寛(のずえまさひろ)
株式会社アガトンラボ代表取締役。2014年から哲学カフェ in 富山で講師を担当。
1974年富山県朝日町出身。
金沢大学教育学部と京都大学大学院文学研究科修士課程にて哲学を専攻、ハイデガーなどドイツ哲学を学ぶ。
高等学校教諭一種免許(公民)を取得